今へ続く街道を歩くと

気楽に歩きながら街道の雰囲気を楽しんでいます

日光御成街道(1)本郷から東川口 その1

 

2014年11月24日

 

本郷

 

 今年の春に日光街道を完歩したので、次に冬場で歩ける街道として、中山道日光街道を結ぶ日光御成街道を選びました。

 日光御成街道歩きの起点は中山道と分かれる本郷追分です。9時少し前に本郷三丁目駅に到着しました。天気は曇り、気温は5℃くらいですが、思ったほど寒くはないです。

 追分へは、駅としては東大前のほうが近いのですが、今年の東大のイチョウの色づき具合はどうなっているか気にかかり、本郷三丁目から歩いてみました。9:00に歩き始めます。

 街路樹のイチョウは、まだ、青々としていましたが、正門を入ったあたりのイチョウ並木はそこそこ色づいていました。でも、本郷の見頃はあと2週間くらいでしょうか。

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 東大農学部前の交差点が追分で中山道は左へ分かれ、日光御成街道は直進方向となります。

 追分の角に酒屋の高崎屋が建っています。高崎屋は江戸時代から続く大店で、ホームページによると、創業は宝暦年間(1751~64年)だそうです。

 高崎屋の店の前には追分一里塚の説明板があります。日本橋から最初の一里塚がありました。

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 日光御成街道を歩き始めます。本郷通りは片側2車線の広い通りです。本郷追分からすぐの左側の歩道に岩槻街道の説明板があります。

 日光御成街道日光街道脇街道でしたが、将軍家の日光社参の際に使われていました。最初の宿泊場所が岩槻城とされていたため、本郷から岩槻宿を通り、幸手宿で日光街道に合流する旅程を取っていました。その先、二日目は古河城、三日目は宇都宮城に宿泊しました。将軍の通る道なので警備が厳重だったため、住民は大変に難儀したそうです。

 また、岩槻藩主の参勤交代にこの街道が使われたため、岩槻街道とも呼ばれていました。

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 左手には文京学院大学があり、地下鉄東大前駅の入口があります。

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 向丘から本駒込にかけての一帯は寺社が多く、寺町を作っています。その多くは天和や明暦の大火により、この地に移ってきました。

 左手にはとうがらし地蔵で有名な正行寺があります。咳の病に効くそうです。その先、右手には浄心寺があります。門前の大きな布袋様はとても目立ちます。

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 浄心寺から5分ほどで、駒本小学校前交差点に架かる歩道橋が見えてきます。

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 歩道橋の左手にある天榮寺の前に駒込土物店跡碑が立っています。神田、千住とともに江戸の三大市場の一つでした。土地の人々から「やっちゃ場」と呼ばれていました。そういえば、千住宿にもやっちゃ場がありました。土物とは人参、大根、ごぼうなど土のついた野菜のことです。

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 旧駒込村に入ります。その先も寺町が続きます。左手には目赤不動尊南谷寺)があります。江戸五色不動の一つで、かつてはこの地から北東の動坂(不動坂)の上にありました。家光が鷹狩の際に立ち寄り、目黒、目白に因んで目赤不動とせよと命名し、現在の地に移したと言われています。

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 さらに、その先、道を隔てた反対側には吉祥寺があります。立派な山門です。

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 駒込土物店跡碑から10分、不忍通りとの交差点である上富士前交差点に着きます。そのすぐ先の歩道に六義園入口の標柱が立っています。これに従って左折して寄り道をします。

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 六義園のレンガ塀に沿って歩きます。

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 すぐの右手に正門があります。六義園は5代将軍徳川綱吉側用人柳沢吉保下屋敷跡で、吉保の手掛けた庭園が有名です。明治に入って岩崎弥太郎が購入し、荒れかけていた庭園を整備して、周囲に煉瓦塀を設けました。現在の煉瓦塀はその時のものではなく、第二次大戦後に国指定の文化財となる頃に管理用として造られたものだそうです。

 様々な変遷がありましたが、古き良きものが後世に受け継がれていくことはとても良いことです。

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 今回は園内に入らず、再び、本郷通りを歩き始めます。その先の駒込駅近くの染井門も今日は開いています。紅葉のライトアップが開催されているようです。

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 染井門のある駒込橋交差点で豊島区に入ります。その先、駒込橋でJRの線路を越えると右手がJR駒込駅になります。

 駒込橋の親柱に載せられた行燈風の灯りが目立ちます。

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 駒込駅の隣に染井吉野桜記念公園があり、染井吉野桜発祥之里駒込の石碑が立っています。説明文には、駒込の一部は江戸時代に染井と呼ばれ、花卉、植木の一大産地でした。この地で江戸時代以降優れた園芸品種が誕生しました。染井吉野は当地の名を付けた世界で代表的な桜の品種であると刻まれています。

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 駒込駅を過ぎると、道は下り坂になり大きく右にカーブします。この坂は、妙義坂と呼ばれ、近くの妙義神社から名前が取られました。

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 その先、霜降橋交差点を過ぎ、旧古河庭園の脇を進みます。

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 西ヶ原交差点を左折すると旧古河庭園の入口があります。150円を払って中を見学することにしました。もともとは明治時代に陸奥宗光の別宅であったものが古河家の所有となり、後に古河家の本宅として整備されました。

 最初に目を引くのは大正時代に建てられて洋館です。

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 こちらは日本庭園です。もみじの紅葉が鮮やかです。この他に西洋庭園もあります。

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 旧古河庭園を出て本郷通りを進みます。右手には平塚神社、北区防災センターのある滝野川公園、国立印刷局の前を歩きます。

 印刷局の隣、滝野川警察署の前には一里塚があります。西ヶ原の一里塚であり、日本橋から数えて2里目の一里塚です。ここは、なんと南北の塚が現存しています。

 大正時代の道路拡張工事で撤去されることになっていましたが、渋沢栄一らの地元住民運動で保存されることになりました。南塚は道路拡張により中央分離帯に取り残されました。

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 こちらは北塚です。歩道脇には西ヶ原一里塚の説明板と二本榎保存之碑の説明板が並んで立っています。二本榎保存之碑は住民の保存運動の成功を記念して作製されました。

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 西ヶ原の一里塚の先、その名も一里塚交差点を通過します。一里塚交差点から右手には飛鳥山公園が広がります。かつて、渋沢栄一の邸宅もありました。

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 道は六石坂と呼ばれる下り坂になります。かつて、坂上に、租六石を納る水田があったことから名前が付けられたと言われています。

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 飛鳥山交差点からは明治通りに入り、都電荒川線路面電車が並走します。

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 下りの坂道は大きく右にカーブして、王子駅の高架の下をくぐります。本来、高架手前の脇の路地を左へ入りますが、右側を歩いていたため、明治通りを横断することがでませんでした。このため、高架をくぐった先の歩道橋を渡り、王子駅北口の東側から高架下通路を通って西側に出ました。

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 駅前からは音無親水公園となっています。石神井川の旧流で音無川と呼ばれている一帯が公園となっています。

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 少し歩くと、アーチが美しい音無橋があります。昭和5年(1930年)に架けられました。

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 音無橋から折り返し、再び、王子駅前に戻ります。左折して線路脇の街道を歩きます。

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 その先の十字路を左折して、すぐのT字路を右折します。

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日光御成街道(1)本郷から東川口 その2へ続きます。

 

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