2021年10月16日
大和橋西詰
駒飼宿のT字路から下ること15分弱で、黒野田宿で別れた国道20号との交差点に出ます。大和橋西詰交差点です。甲州街道はここを左折します。
右折すると甲斐大和駅へ通じています。この地は武田家終焉の地と言われています。小山田信茂に裏切られた勝頼一行は天目山棲雲寺を目指していましたが、ここ大和村の田野で自刃したと伝えられています。徳川家康は勝頼主従を弔うために景徳院を建立しました。景徳院はこの交差点から西へ3km行ったところにあります。
交差点を左折して国道を歩きます。さすがに車の往来は激しいです。
これまで付きつ離れず歩いてきた笹子沢川は、交差点のすぐの上流で日川と合流し、これからは日川沿いの国道を下っていきます。
国道の左手にある日川に架かる立会橋の旧橋を渡ります。
橋を渡り終えると左手には金岡自画地蔵尊碑が立っています。平安時代の宮廷画家 巨勢金岡(こせのかなおか)がこの地の岩に地蔵尊を描いたと言われていますが、明治の洪水でその岩も流されてしまい、石碑が残るのみです。
鶴瀬宿
右手には鶴瀬関所跡碑と説明板があります。鶴瀬関所は甲州街道の中で小仏関と並ぶ口留番所で、入り鉄砲、出女を厳しく取り締まっていました。
ここ関所が鶴瀬宿の東側の入り口になっていました。
再び、国道と合流します。道の反対側には鶴瀬宿碑と説明板が立っています。隣の鶴瀬地区と記された石碑のほうが立派です。
さらに、国道を下っていきます。
国道は中央高速道の脇を通ります。
ぶどう棚が見えてきました。国道の先には時々甲府盆地が見え隠れします。
大和橋西詰交差点を左折して国道を下ること25分で長柿洞門が見えてきます。旧道は洞門手前の右手の階段を上ります。
結構急坂です。峠道で疲労した足で、その後、かなりの距離の下り坂を下り、そこから一転、急登の坂を上り始めたので、足が追い付いていません。ふらつきながら上り続けます。
荒れた参道をひとしきり上ると、聖観音堂の前に出ます。京都清水から勧請されたものだそうです。彫刻が立派です。
観音堂の左脇を回り込んでさらに進みますが、すぐに、道が良く分からなくなり、道なき道を進み、旧中央本線のトンネル口まで行きました。しかし、残念ながら先に進むことを諦め、来た道を戻り、国道に出ました。
そういえば、甲州街道与瀬宿の先の与瀬の一里塚へ行く道も沢を渡れず断念したことがありました。
横断歩道を渡り、洞門中の左側の歩道を歩きます。すぐに、車道はトンネルに入り、歩道はトンネルから左へ反れます。
ちょっと草ぼうぼうの昔の旧国道跡のようです。
旧道の脇にも芭蕉句碑が立っています。
「観音の 甍見やりつ 花の雲」
この句は深川の芭蕉の庵から眺めて詠んだ句で、観音は浅草観音、花の雲は桜の花とのことです。
すぐに国道に出ると、その先の観音トンネル西信号を右折します。街道はU字を描いて下っていきます。途中左手のコンクリート擁壁に上から下る道が見えます。ひょっとしたら、諦めた旧道がここに出てくるのかもしれません。
U字の先で、先ほど通った国道の下をくぐります。
左手には、武田不動尊の標柱と燈篭が立っています。滝川一益に追われた勝頼は奉持していた不動尊を里人に託したと言われています。不動尊はさらに日川へ下ったところで祀られているようです。
共和バス停を通過して、横吹地区を抜けます。崖沿いの狭い道ですが、たまに車が通り抜けます。
坂道を上っていきます。
再び国道20号と合流します。
国道下を流れる日川とその先には甲府盆地が見えてきます。
さらに、下っていきます。日差しはまだまだ強く、かなり暑いです。
このあたりの国道下の旧道跡には横吹の一里塚があったようですが、通り過ぎてしまいました。日本橋から数えて29里目の一里塚です。
深沢入口交差点を通過します。この地は慶応4年(1868年)、官軍と甲陽鎮撫隊(幕府軍)との戦いがあった柏尾古戦場の跡で、甲陽鎮撫隊は惨敗して八王子まで退却することになりました。交差点の角には近藤勇の像が立っています。
ブドウ園も見えてきました。すでに営業を終了している店がほとんどですが、いまだにブドウを売っている店もあります。
国道に面して大善寺の山門が建っています。ブドウ寺とも呼ばれています。
奈良時代の僧行基が日川の岩で修行していた時、ブドウを持った薬師如来が現れました。行基は薬師如来の像を彫ってこの地に大善寺を建立し、ブドウ作りを伝えました。
本堂である薬師堂は国宝に指定されています。また、寺内ではブドウが作られ、ワインも販売されているそうです。
柏尾交差点のY字路は右へ進みます。ここで国道20号と別れます。
その先、右手には国見坂の標柱が立っています。
そして、上行寺前の交差点に到着しました。本日の街道歩きはここで終了とします。時刻は15:30で、今日は6時間30分の行程でした。これまで平地のウォーキングが主だったため、普段使わない筋肉を使い、結構疲れました。
この後、ぶどうの丘を目指して歩き始めましたが、途中でくじけて、原茂ワインに立ち寄ります。打ち上げを行った後、タクシーで勝沼ぶどう郷駅へ向かい、16:30発の特急にぎりぎり間に合って、帰路に付きました。