今へ続く街道を歩くと

気楽に歩きながら街道の雰囲気を楽しんでいます

鎌倉街道上道(12)大橋から武蔵嵐山 その3

 

2024年1月27日

 

菅谷館

 

 都幾川を渡った先で段丘崖の急坂を上ると、国道245号に出ます。左折して菅谷館跡へ向かいます。菅谷館は鎌倉時代御家人、あの「鎌倉殿の十三人」の畠山重忠が居を構えた場所です。しかし、重忠時代の遺構は確認されていませんが、山内上杉家(戦国時代)の城跡が今でも残っています。

 国道脇から、二重土塁にある搦手門を通って城内に入ります。

 

 まずは、駐車場の奥にある嵐山史跡の博物館を見学します。企画展として「武蔵武士の食と信仰」が催されています。

 

 一通り展示を見て、博物館の裏手から三ノ郭へ出ます。井戸跡や建物跡に木柱が立っています。

 

 菅谷館跡の全体を示す地図です。南側(地図上)に都幾川が流れているということは、菅谷館は河岸段丘の縁に広がっていたようです。

 

 それでは城跡のツアーを始めましょう。この広場は二ノ郭です。

 

 右手にある二ノ郭を囲む土塁の上には、

 

 ありました。畠山重忠像です。畠山氏は桓武平氏の流れを汲む家柄でしたが、源氏の家人となっていました。しかし、平治の乱の後、父畠山重能平氏側に付いたこともあり、治承4年(1180年)の源頼朝挙兵の際に、重忠は頼朝征伐のために出陣しました。頼朝は石橋山の戦いで大敗を喫しましたが、安房国で再び旗揚げをして、武蔵国に入って大軍を従えるようになりました。それを見た重忠は頼朝に帰伏します。その後は大河ドラマのとおりで、最後は北条時政の陰謀で武蔵国二俣川で討たれてしまいます。

 

 二ノ郭から本郭に入ります。

 

 本郭と二ノ郭を隔てる堀跡です。

 

 本郭には菅谷館の中心的な建物が建っていました。 

 

 本郭を突っ切って、南側の土塁から堀を越えます。


 本郭の南側の平坦地は南郭と呼ばれ、都幾川に面する崖の上にあります。他の郭より一段低いところにありますが、何に使われていたかは分かっていません。右手の本郭の土塁は結構高さがあります。

 

 南郭を西へ歩いて行くと突き当たるので、右に曲がって土塁を上ります。

 

 土塁を上ると、本郭を囲む堀の外に広がる二ノ郭に戻ってきます。

 

 二ノ郭に植えられた梅の木には花が咲き始めていますね。

 

 本郭を囲む堀の脇を回ると本郭の出桝形土塁を見ることができます。凸上に出ている土塁で、敵の進入時に横から矢を射かけることができます。

 

 再び重忠像の前まで戻り、西ノ郭へ向かいます。「毒ヘビ(マムシ)に注意」

 

 一旦北へ向かって歩き、駐車場入り口付近から西へ向かいます。オオムラサキの森もこちらの方向です。

 

 西ノ郭へ向かっていますが、ここはまだ、三ノ郭です。

 

 正坫(しょうてん)門跡の先には、堀に架かる橋が復元されています。その先に広がるのが西ノ郭です。手前の三ノ郭は西ノ郭より1mほど高くなっていて、橋に傾斜が付けられています。敵の侵入を妨げるものと考えられています。

 

 橋の上から見た堀と土塁です。三ノ郭側の土塁は結構な高さがあります。

 

 45分ほどかけて、城跡を巡った後、国道沿いのラーメン屋で昼食を取りました。

 休憩後、さらに寄り道をするため、国立女性教育会館交差点を左折して、緩やかな坂道を上ります。

 

 菅谷中学校の校庭手前のスペースには庚申塔と、

 

 古墳があります。稲荷塚古墳と呼ばれています。稲荷塚古墳は、発掘当時、すでに原型を留めておらず、多くの礫が散乱していたことから、石で覆われていた古墳だったと推定されています。

 

 南側の入り口には結晶片岩の割石が積み上げられていて、石室の壁や天井は暗くてよく分からなかったのですが、同じ片岩の一枚板で構成されています。都幾川左岸の台地の上にある、この周辺のみに見られるものだそうです。

 

 国道254号をさらに西へ歩いていき、さきほどの交差点を左折して鎌倉街道に戻ります。

 

 住宅街の中、再び、段丘台地の上へ通じる坂道を上ります。

 

 その先で、国道の旧道とのT字路に突き当たります。右からの道は江戸時代に整備された児玉往還(中山道脇往還)で、この先は鎌倉街道上道とほぼ同じ道筋を辿ります。

 旧国道を左に入ると、すぐに、嵐山駅入口交差点に到着します。今日の街道歩きはここまでとして、右折して武蔵嵐山駅へ向かいます。

 

 そして、武蔵嵐山駅に到着しました。時刻は12:20です。今日は、3時間40分の行程でした。東武東上線に乗って帰路につきました。

 

 

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